歯医者で神経を取る、神経を抜くという言葉を聞いた ことがありますか?
むし歯になり、神経が細菌に感染し膿んでしまった状態になると、もとに戻ることはありません。
そのままにしておくと感染が進行し歯を抜かなければなりません。そのため膿んだ神経をかきだし、歯の中で繁殖した細菌を減らす治療をしていきます。
根っこの治療
かき出す
・大きなむし歯ができ神経が細菌に感染して膿んでいます。このまま炎症が広がると、抜歯しなければなりません。
・膿んだ神経をかき出し、歯のなかで繁殖した細菌を減らしていきます。歯を痛めないように細心の注意をはらいます。
殺菌する
・神経をかき出した管の中を薬剤できれいに洗います。
・消毒薬を詰め、新たな細菌が入らないように仮の封をします。2~3回の通院で念入りに殺菌します。
封をする
・十分に殺菌できたところで、空洞になった管の封鎖のためゴム状の詰め物をします。
・ガッチリ丈夫に封鎖し、その上に被せ物を支える台(支台)を作り、そこに被せ物を被せます。
治療中にピピピの音って?
上記step1神経をかき出すときに、根菅長測定器を使いながらかき出します。かき出すときに測定器からピピピとアラーム音が聞こえてきます。音がピーとなれば歯根の根尖に到達した合図になります。
音がピーとなるまで神経をかき出します。
目視では見えない部分ですので、測定器具を使い根っこの治療をしていきます。
奥歯などは根管(根っこ)の数が多いため時間もかかります。
根っこの治療後について
治療後の痛みや違和感は6~7割のかたが経験します。
根っこの治療で痛みを経験する患者さんはとても多いです。我慢できないほどの痛みから、ほとんど気にならない程度の痛み(違和感)まで含めると、6~7割の患者さんになんらかの症状が出る事が疫学調査でわかっています。
治療を受けるたびに起きる痛みや違和感はつらいでしょうが、じつはめずらしいことではなく、治療がうまくいっていてもふつうに起きる症状です。
2~3日過ぎるとだいぶ楽になり(痛みのピークは48~72時間)、1週間もすれば、痛みのある患者さんの99%が治まっています。我慢できないような痛みでないならば、2~3日様子をみるのことをおすすめします。
神経を取っても痛みを感じるのはなぜ?
根っこの治療にともなう痛みの詳細は、いまだ解明されていません。根の先の急性的な炎症が原因で、おそらくは、歯のなかを掃除するときに細菌が一時的に活性化してあばれたり、つつく刺激や噛む刺激、消毒薬の刺激が加わったりするからではないかと考えられています。
神経(歯髄)を取ったあとも、歯をつつんでいる歯根膜など、歯の周りには痛みを感じる敏感なセンサーが張りめぐらされています。
そうしたセンサーが急性症状を感じとっているのです。
痛みを我慢せず薬は早めに飲みましょう。
歯医者でもらった痛み止めの薬は「痛くなってきたな」「痛くなりそうだな」と思ったら、我慢せずに早めに飲みましょう。強く痛みを我慢すると、痛みに対する感覚が敏感になってしまって痛み止めが効きにくくなるからです。また、痛みのないときは、飲む必要はありません。
通常2~3日が処方されますが、ご希望のかたには、追加で処方もいたしますし、市販の痛み止めを飲んでもかまいません。
ただ、薬を飲んでも効かないほどの強い痛みがある場合は、つぎの予約日まで待たずに歯科医院に連絡し、なるべく早く診てもらいましょう。
予約の間隔をあまり空けないで。
根っこの治療は、1週間に1回程度が理想です。治療の間隔は、長く空いたとしても4週間以内にしましょう。この治療では、掃除をした根っこに細菌が入らないようにシャットアウトする封の役割が非常に重要なのですが、治療途中の封は、はずして掃除することが前提の「仮の封」なので、耐久期間は4週間程度といわれています。
治療の間隔が1ヶ月以上も空くと、封の隙間から細菌が入りそれまでの治療が無駄になってしまうことも。
治療はあいだを空けずに終わらせましょう。また、根っこの治療の被せ物を入れる治療も、同じ理由で、放っておかず早期に開始することをおすすめします。
- 経過観察のために定期検診を受けましょう。
- できれば半年に一度、少なくとも1年に一度はレントゲンを撮り、チェックしてもらいましょう!
治療後の経過観察はたいへん重要です。治療が終わって症状がいったん消えても、万が一炎症が残っているとジワリと痛みが再発することがあるからです。
とくに、根っこの再治療は難治療になる場合が多く、専門医が治療をしても成功するとは限りません。こうした変化を早期にチェックし、悪化しないうちに手だてを講じるため、少なくとも年に一度は治療を受けた歯科医院でレントゲンで確認してもらいましょう。
治療後の経過観察は4年間が目途とされています。4年間再発がないようなら、まずは安心していただいてよいと思います。