妊婦歯科検診のご案内

・女性の生涯を通じた歯科と口の健康及び、赤ちゃんの健やかな成長のため、妊婦の方を対象に歯科検診を無料で実施しています。
安定期(およそ4から7か月)になられたら、早めに妊婦歯科検診を受診しましょう。

1、対象者

福岡市内に在住の妊婦の方

2、受診方法

 市内の「実施医療機関」(当医院)で行っています。
母子健康手帳に助成券を綴じこまれています。
各実施医療機関に事前にご予約の上、母子件手帳を提示して受診してください。
市外から転入された方は、各区保福祉センター健康課に母子健康手帳を提示し、助成券の交付を受けてください。

3、回数は妊娠期間中に一回 *安定期(およそ4~7か月)に受診されることをおすすめします。

4、料金は無料

5、健診内容

 むし歯と歯周疾患の口腔検査、歯科保健指導検診結果、治療が必要で診療を希望される場合、治療については自己負担になります。

6、妊娠期間中気になるQ&A

赤ちゃんにカルシウムをとられて歯がボロボロになりますか?

・歯は骨と違って、いったん完成するとほとんどカルシウムが溶け出すことはありません。
・赤ちゃんは血液中からカルシウムを吸収しますが、これは骨から供給されます。
・妊娠中はカルシウムを多くとる必要があります。
・骨が悪くなるのは、歯の清掃状態と関係があります。

妊娠中にコーヒーを飲むと赤ちゃんの歯や骨のできが悪くなりますか?

・カフェインをとると尿などに排泄されるカルシウムの量が増えるという動物実験の結果があります。人間に即当てはまるわけではありませんが、控えたほうがいいでしょう。

妊娠中にレントゲンをとっても大丈夫ですか?

・歯科のレントゲンは量も少なく胎児に直接あたることはなく、防護衣もつけるので危険度はかなり低いものです。問題はないと考えてよいでしょう。
・むやみに怖がってレントゲンをとらないと、的確な治療を行えない場合もあります。レントゲン撮影の際は、妊娠の可能性があるのか、妊娠何週であるかを必ず告げてください。

妊娠中は、あまり薬はのまないほうがいいのですか?

・歯科で使用される薬のほとんどは妊婦さんに対して安全に使用できます。
歯科医は、より安全な薬をなるべく少量で長期にわたらないように処方しますので、指示通りに服用しましょう。

歯の治療ができる時期は?

・原則として、治療できない時期はありません。しかし、妊娠初期は流産を起こしやすく、つわりも生じてくるので応急処置でとどめておくのが一般的です。また、妊娠後期はおなかが大きくなり、仰向けで長い時間治療するのができなかったり、ちょっとした刺激で早産を起こすこともあります。
やはり、妊娠20週から28週の時期が最も歯の治療をおすすめするケースもあります。場合によっては、産科の先生と連絡をとりながら治療をすすめるケースもあります。

虫歯や歯周病は遺伝しますか?

・むし歯や歯槽膿漏は、遺伝的要素も関係あしますが、生活習慣病のひとつだといわれています。食生活を見直すことやハミガキをきちんとすることのほうが大切です。

7、なぜ妊婦歯科検診が重要なのか?

 1996年にはアメリカで、歯周病の人が早産になるリスクが、通常の場合の7.5倍になると報告がされました。
日本でも鹿児島大学のグループが、歯周病と早産や低体重児出産の関係を研究し、危険性が高まることを報告しています。
これらは、母体の歯や歯茎の悪影響が、胎児に何かしらの影響を与えているとの解釈もできます。
 虫歯予防や歯周病予防は、何といっても毎日の歯磨きが大切ですが、妊娠中には、味覚や臭覚など、今までとは異なりより敏感に感じるようになってきます。
そのため、長時間歯磨きを続けることが難しくなったり、歯磨き自体をおこなうことで、気分が優れなくなったりすることもあります。
 それでも体調を考慮しながら、無理のない範囲でのケアをし、場合によっては歯科治療を受けることが重要となります。
ご存知の方も多いですが、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯菌がありません
子どもの虫歯の原因の多くは、お母さんと同じスプーンを使った食事など、大人から虫歯菌が移ってしまったものです。
 赤ちゃんの虫歯予防のためにも、出産前のお母さんのお口のケアは注意が必要です。妊娠中は女性ホルモンが増えますので、体内のホルモンバランスが変化すると共に、分泌される唾液の量も次第に減っていきます。
唾液の中には、炭水化物の中に含まれる、デンプンを分解する酵素「アミラーゼ」が含まれています。
唾液は消化を助けるためだけではなく、歯の衛生状態を保つ上でも欠かせないものなのです。
 唾液には、お口の中を清潔に保つために、歯に付着した食べ物のカスや、プラークを洗い流す「自浄作用」があります。「ラクトフェリン」や「リゾチーム」などの抗菌作用のお陰で、細菌の増加を抑える効果もあります。
その他にも、緩衝作用によってphを一定に保ち、細菌の繁殖を抑える効果があり、唾液中に含まれる「アパタイト」や、歯の表面をコーティングすることによって、歯の表面の脱灰現象を抑え、虫歯の進行を防ぐ効果も発揮しています。又粘膜を保護する「ムチン」なども含まれています。
 口の中で、大きな役割をはたす唾液が減少することで、妊娠時には、女性の一生の中でも特に、虫歯をはじめとするお口のトラブルを起こしやすい時期でもあるのです。